「ここよ。


ただいま。」

「お邪魔します。」


「あら、姫野。

お父さんが迎えに行かなかった?」


「そこ。」

幸大が榊パパの靴を脱がす。


「あら…」


「私の友達。

お父さんが彼を襲って返り討ちにされたの。」


「あら…まぁ…

わざわざすみません。

こっちの部屋に…。」

「わかりました。」




数分後

リビング


「どうぞ。」

コーヒーが出された。

「私は姫野の母です。

娘がいつもお世話に」

「なってないわ。

今日初めて名前を知ったもの。」


「すみません。

失礼な子で…」

「はぁ…

ところで…

人間なんですか?


首筋に噛まれた跡がありますし…」


「姫野…」

「彼は知ってるわ。

さっきも私に血をくれたから歩いて帰って来れたし。」


「それは、それは…

娘が御迷惑をお掛けしました。」

「いや、まったくです。」

「少しは否定しなさいよ。」

「普通の人間の致死量なみの量を吸っといて何を言ってんだか…」


「仲が良いわね…


私は普通の人間です。

まぁ…吸血鬼と結婚するあたりは普通ではないかも知れませんけど。」