―――ある日、あたしたち”乱蝶”に襲いかかってきたヤツがいた。

一人で無表情であたしらの下っ端を倒していた。
幹部やあたしは黙って見ていた。

下っ端を倒し終わったヤツは恐ろしい目つきで此方へと向かってきた。


……桜が似合う。
桜をバックに乱れている。


『お前さ、カッコ悪い。
……なんか喧嘩を何のためにヤんのかわかってねえ』

あたしはそう呟く。
桜(命名)は癇に障ったのか、あたしの目の前までやってきた。


『……ただの反抗だろ?
それにしては結構ハデだな』

クスッと鼻で笑った。

すると殴ろうとして、顔面に向かって拳が飛んできた。
あたしはそれをいなし、鳩尾を殴った。


『……クッ』

膝を地面につけ、ハァハァと息を荒くしていた。


『喧嘩ってのは大切なモンを守るためにやんだよ。
今やってるお前ぇの喧嘩は、”心を満たすためだけの”喧嘩だ』

残酷に、桜がそうしてたみたいに無表情で言った。