「もうすぐ文化祭だねー」



青空があたしの頭上いっぱいに広がる。



充実した毎日…。

でも、あたしには一つだけ足りないものがある。



「結(ゆ)衣(い)。文化祭の作業、誰とグループ組む?」


「グループ?」


「ほら、展示は6人グループ組むのが基本でしょ?」


「じゃあ、あたしと香那(かな)と…あと4人くらいは何とかなるでしょ?」


「バカ、違うわよ。女子3人、男子3人のグループ組まなきゃいけないんじゃん」


「へぇ…。香那は誰がいいの?」


「だから、それを今。あんたと話し合ってんでしょ」


あたしにただ1つ足りないもの…。

それは恋。

小学校のときはそれなりに恋もしてたけど、中学に入ってからは恋なんてその予兆すら見せない…。



「結衣。あそこのグループどう?」



クラスでも目立つ男子のグループ。

別によく喋るし仲いいから、無難かな…。



「あぁ。そうだね。あそこのグループにしよっか」


「萩原(はぎわら)」



名前…呼ばれた?



「え?あぁ…高瀬(たかせ)くん」



あららっ。イケメン集団…。



「俺たちと組まない?なかなか女子に声かけにくくてさ…」


「あの…あたしも女子なんだけど…」


「まぁ、萩原って女子っぽくないしさ」


「それ褒めてんの?けなしてんの?」




笑顔…爽やかだなぁ…。




「えぇ…。でも、あたしたち…」


「組もう、組もう!!」



え?君、さっきあっちのグループと組むって言ってませんでした?



「え?香那。あたしたち、あっちのグループと組むんじゃ…」


「何言ってんの?こっちのほうがいいに決まってんじゃん」


「なんで?」


「バッカ!!高瀬くんも田原くんもいるんだよ?しかも、矢澤くんと同じグループなんて光栄も光栄!!」