「そうなの?!じゃぁもう少し一緒だね」
――か、かわいい
無邪気に向けられた笑顔に、俺はつられて笑顔になった。
電車を一緒に降りた俺たちは人込みを話ながら進んだ。
少し前方に懐かしい友達の姿が見えたが、今日は声はかけなかった。
今は、彼女とのもうこないかもしれないこの時間を大事にしたい。
「電車、すいてるといいな」
「そうだねー」
いつのまにか俺は完全に敬語を外していた。
「……そういえば、何年生?」
「二年だよ」
「じゃぁ一緒だ」
なんとなくそうかな?とは思っていた。
部活の話をしていたとき、“去年”という単語を聞いたからだ。
「そういえば何部なの?」
「バスケ部」
俺は狭い空間でボールをつく真似をした。
「へぇ。かっこいいね」
『かっこいいね』
彼女の口から漏れた言葉に俺は心臓が止まるかと思った。
いや、止まったら困るんだけど。
「いやいや、弓道ほどじゃないよ」
「それこそ、そうでもないよ」
ずいぶんかわいく笑う人だ。



