『お乗り換えのお知らせです』
――あぁ、終わりか……
こねアナウンスがなったということは、もうすぐ終点に到着するということ。
俺と名前も知らない彼女との会話も多分終わりだ。
多分、というのも、今電車に乗っている人たちにはこの先にある選択肢は二つなのだ。
1つ目はこのまま駅を出る人。
2つ目は乗り換えをする人。
俺は乗り換え組だ。
つまりこの場合、彼女が乗り換えで、さらに3つある路線のうち、俺と同じでなければ会話は終了ということだ。
「……どこまで乗ってくの?」
言ってしまってから気が付いた。
敬語、忘れた。
機嫌を損ねてはいないかと、横目でチラリと見たけれど、気を悪くした風はないし、気にもしていなさそうだった。
「この先の、●●線なの」
――運命きたぁぁぁあぁぁああ!
バカだって思うかもしんないけど、俺は彼女が運命だと感じた。
「お、俺も●●線だ。一緒だ」
まだ話せるね。
なんて言ってみたいけど、俺はそんなこと言えなかった。



