俺の年寄りくさい発言に、彼女は、ハッとしたような顔を見せて、すぐに笑った。
「いいですね。あたしにはまず相手を見つけることからやらなきゃなんですけどね」
「俺もですよ」
さりげなく彼女に彼氏がいないことがわかって、俺は内心激しくガッツポーズをした。
「あ、あたし次の駅なんです」
「あ、そうなんですか」
すでに電車は減速していた。
――お別れか……
「あ、さっきから思ってたんですけど、あたしその作者さん好きなんです」
彼女が指差したのは俺が読んでいた本。
彼女の口からそれがきけただけでかなり満足だ。
そして俺は少し、勇気を出してみることにした。



