「神崎…お前が好き」


その言葉が聞こえた後、


ふっ、と視界が暗くなって、頬に何かがかすれた。


え?と思った時には、私の唇はコイツに奪われていた。


温かくて、切なさが感じられるキスを私は拒む事ができなかった。


ゆっくりと、それでいて名残惜しそうに離れていく唇…


そしてその唇が動く、


「…だから、泣くな」


「零の隣を選んだんだ、お前、零が好きなんだろ?だったら零の隣で…笑ってろ」


優しすぎるよ…


けなされたって、怒鳴られたってかまわない。


覚悟してたのに…


「まあ、俺は新しい彼女でも探すわ」


嫌みっぽく言った。


精一杯の強がり―――。