「おはようございます」
昇降口前であいさつをしているのは、百合学院(ゆりがくいん)の生徒会執行部7名。
そのうちの1人として私、桜庭 姫乃(さくらば ひめの)もいる。
私は百合学院の生徒会副会長。つい最近選挙があってなったけど、去年1年間もやってきたからある程度の仕事はわかってる。

「姫乃、朝から元気だなぁ」
笑いながら私に話しかけてくれるのは、水城 海星くん(みずき かいせい)。
海星くんは学院の生徒会長で、とても頼れる存在。
頼れない私とは正反対の性格で、近づきにくかったけど海星くんから話しかけてくれるから仲良くなれた。

海星くんは人気雑誌「Mii」の専属モデルで、とても人気がある。それなのに生徒会長をやっているのもすごいと思う。
私には到底できないなと思ったりする。

「姫乃さー、モデルになる気ない??」
突然海星くんが私にそういう。
「も、モデル!?」
驚いた表情で私は返事をする。だって私には向いてないと思っているから。
「そう、モデル。俺の出てる雑誌あるだろ?その雑誌でオーディションがそろそろあるんだけど、俺が姫乃を推薦したいって雑誌の担当者に相談したら、1回会ってから決めるって言われてさぁ」
淡々と話す海星くんに私はついていけなかった。
「でも…私みたいな人がモデルなんて…」
正直自信がなかった。それに私がモデルなんてできるわけない、そう思ってたし。
でも海星くんに誘われるなんて…そう思うと断ることもできない。
「1回撮影来てみない?それから決めようよ」
笑顔で私に話す。
「…そうしてみる」
そういって頷くと海星くんは
「今週の土曜日撮影なんだ。一緒に行こう」
それだけいって、また生徒会の仕事に戻った。