「くっ!」

引き際は鮮やかだった。

ヴリトラは、まるで訓練されたスパイか何かのように生徒会室の窓ガラスを突き破って廊下に飛び出し、一目散に走り出す。

作戦は失敗した。

単独潜入したヴリトラは圧倒的に不利。

最早撤退するしかない。

(前回は体育祭実行委員長をけしかけて失敗してぇ…今回は俺直々に出ても失敗してぇ…)

二度の失敗にも、ヴリトラはめげる様子は無い。

寧ろこの失敗を楽しんでいる節さえある。

(本当にぃ…生徒会長は退屈させないねぇ…)