天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ

「……」

宜虎の眼が細まる。

「いいのかい?喧嘩すると美人の奥方がうるせぇぜ?」

「囀りやがる…小僧の心配する事じゃない…」

スラリと川蝉を抜く翡翠。

木刀と真剣、不利なのは当然宜虎。

(鍔元はえてして切れ味が鈍い…木刀でも受け太刀できるか)

対峙したまま、剣客ならではの思考を巡らせる。

三十秒、いや一分か。

緊張の睨み合いが続く。

そして、やはり年若ゆえか。

「っ…」

先に宜虎の気が揺らいだ瞬間。

「とった」

翡翠が一足飛びに襲い掛かってくる!