天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ

正面には翡翠、背後には疾風。

宜虎は龍太郎と背中合わせに立つ。

「とりあえず美葉達を逃がす事に専念しよう。まともにやったんじゃ時間がかかりすぎる」

「スペシャルバカの癖にたまに切れ者だぁな、おめぇさん」

「うるせっ」

この状況で軽口が叩けるのは流石だ。

「兄上、私も!」

月姫が身構えるが。

「月姫、おめぇさんは美葉を手伝ってやんな。三人を一人で守るのぁ、ちと難儀だからな」

視線を彼女に移した宜虎は。

「まず一人」

疾風のパワードスーツの左腕から射出された捕獲用ネットに、月姫が覆われる姿を目の当たりにした。