しかし、そんな捜査隊に邪魔が入る。

邪魔をしたのは生徒指導でも保険医でも毒舌教師でもなく。

「あぁあぁぁあぁにうえぇええぇんっ♪」

黒髪を簪で留め、下駄をカラコロ言わせながら全力疾走してきた美少女だった。

彼女は跳躍するや否や、空中で一回転して姿勢制御、その後邪魔な龍太郎を蹴り飛ばして場所を確保し、宜虎の隣の席に着地してゴロニャンと寄り添う。

派手な音を立てて転倒する龍太郎には目もくれず。

「兄上、どうしてお昼ご飯ご一緒してくれなかったのぉ?寂しゅうございましたぁ」

彼女は甘えた声を上げる。

胡乱な目で見つめる捜査隊の面々。

「おぅ、月姫」

宜虎はさして驚くでもなく、妹を見下ろした。