月は顔を上げ、龍太郎に視線を向けた。

「どこで手に入れました?この写真」

「……天スポにツレがいてな。そいつから預かった。大スクープだから、編集長かヘッドフォンの奴に渡すまではお前が預かっててくれってな」

「天神スポーツに渡っても、ヘッドフォンの彼に渡っても、私としてはいささか面倒な事態になりかねませんからね」

龍太郎の話を聞き、月の表情は強張る。

天スポといえば“真実のみが記されている”のキャッチコピーの下、学園内外のゴシップネタを満載して発行されている有害指定新聞だ。

あそこの編集長はなかなかの曲者と聞く。

更にヘッドフォンの彼とは、『狐』と称されるあの男子生徒。

彼の手にこの写真が渡ってしまえば、それ即ち世界の隅々にまで情報が流布されると考えて差し支えない。