「そんな顔をして睨まないで下さい」

愛らしい笑みを浮かべる月。

「私は睨めっこをする為に、あの執事付きの令嬢から丹下君の身を預かってきた訳ではないんですから」

そう言って見えぬ瞳で月が促すと。

「失礼します」

生徒会長付ネコミミメイドが、素早い動きで龍太郎の手から一枚の写真を取り上げた。

「どうぞ月様」

「有り難う」

優雅な笑みを湛え、メイドから写真を受け取る月。

目に光こそ失われたが、月には見える。

写真には二人の人物が写っている。

一人は写真を手にしている月自身。

そしてもう一人は…男子生徒だった。

月と向かい合う後姿。

ちょうど男子生徒は影になっている事もあり、何者なのかは判断できかねる。