天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ

竹刀袋に納められた一振りの太刀。

それを抱えて走るのは、息を切らせた月姫。

「ごめんなさい兄上!大じい様の目を盗んで『兼重』を持ち出すのに手間取って…」

「構わねぇ、月姫!」

宜虎が叫ぶ。

「そのまま投げろ!」

「はいっ!」

流石は兄妹、月姫には宜虎の意図する事が分かった。

竹刀袋から取り出した、鞘に納められた『それ』を空中に放る月姫。

宜虎は跳躍一番、その柄を空中で両手で握り締めると。

「おぉぉおぉおぉぉっ!」

振り下ろしと共に抜刀、眼下の翡翠目掛けて襲い掛かる!

「ちぃぃいぃぃっ!」

翡翠もこれは抜刀せざるを得ない。

素早く抜き放つ刃。

両者の白刃は。

「!!!!!!!!」

甲高い音を立てて、闇に包まれた校舎内で激突した!