天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ

「さて…」

翡翠が宜虎を見る。

その手にあるのは、切断された木刀。

「その嘗めた態度について説明してもらおうか」

「得物がまだ届かねぇんだ…俺んちは天神学園から遠いんでな」

挑発するようにニヤリと笑う宜虎。

だが。

「見え透いた事を」

抜刀した川蝉を鞘に納め、翡翠は腕組みした。

「狐面小僧の『蜘蛛切』、俺の『川蝉』と並ぶ、天神学園大業物の一つ『上総介兼重』…そいつを待っているのだろう?」

「……!」

知っていたのか。

またも宜虎舌打ち。

「それが届かぬうちの貴様など、剣道を始めたばかりの童(わっぱ)とさして変わらん…指導する気にさえならんわ」

その翡翠の態度が、宜虎の逆鱗に触れる。

「童かどうか…」

ギチッ、と。

下駄が廊下を踏みしめる音。

「いっちょやってみようじゃねぇかっ!」

宜虎は一足飛びに翡翠へと踊りかかった!