そういう訳で、捜査隊は夕闇に包まれた校舎を歩く。

既に学園内に残っている生徒は彼らだけのようだった。

校舎に明かりが灯っているのは、職員室と生徒会室、そして保健室くらいだろうか。

「夜の校舎にゃいい思い出ねぇんだよなぁ…」

夏休みの『肝試し事件』を思い出して顔を顰める龍太郎。

「おお、その節は妹が世話になったらしいなぁ、龍太郎」

豪快に笑う宜虎。

「何じゃ何じゃ?夏休みに何か楽しい事があったのか?」

筱萠が小首を傾げる。

そんな彼女の背後で。

「っ!」

真紅の双眸が光るのを、龍太郎は見逃さなかった。