天神学園高等部の奇怪な面々Ⅹ

「それはいささか浅慮ではないか？藤原の」

龍太郎と宜虎の会話の間に割って入ったのは、ご存知皇帝こと水無瀬 遥（みなせ はるか）。

彼もまた月と並ぶ天神学園ヒエラルギー頂点の一人だ。

「彼女のような高い地位の者は、惚れたはれたまで権力闘争の道具に使われかねん。気の毒な話とは思うがな」

とはいえ、その話も権力にまるで興味を示さない宜虎と龍太郎には何も感じさせないが。

「そいでもまぁ、政略結婚なんてのは昔っからよくあった話だからなぁ」

「政略結婚！いいねぇ、それ頂き」

ヴリトラが早速メモる。

何か悪い事考えてるよこの人。

「おいおい、まさかそこまで…まだ学生だぜ俺達」

呆れた顔をする龍太郎。

「何言ってらぁ、昔は十五ったら元服っつってだなぁ、一人前の大人として扱われてたんでぇ、名だたる武将も、顔も知らねぇ年端もいかねぇ小娘を娶ってだなぁ…」

宜虎の歴史薀蓄が始まったので、とりあえずスルー。