「全く」

コロコロと。

月は鈴のような声で笑う。

「本当に…私は役得ですよね。皇帝の本心の声が聞けるのは、様々な超常の力を持つ生徒が在籍する天神学園の中でも私だけなのですから…」

そう言って、白神 月は踵を返す。

…先程まで立ち昇っていたどす黒いオーラも、今では彼女から感じられない。

(…何とか…見逃してもらえた…?)

ヘナヘナと廊下にへたり込む遥。