この大奥に再度来ることが出来て、キヨだけでなく、レイやランやレン、ハルといった男性たちに、かしずかれて、
嬉しい。うれしいから、リアルな生活に戻ったら、絶対に恋しくなると思う。
うつむいていたら、ランが紅茶を入れてくれた。
「ミルクたっぷりのミルクティーにしたら、濃いセイロンは美味しいのですよ」
ミルクティーにしてもらって、あたしはそのお茶を大切に飲んだ。
ミルクは精神安定にいいと聞く。
温かいお茶は、気持ちを楽にさせてくれる。
紅茶を飲んでいると、あたしの頭に声が響いた。
『皆、ここに続けて来たくなるのですよ』
キヨ?……だけど、キヨにしては話し方が丁寧だし、雰囲気が違う。
今、確かに、誰かがあたしに語りかけた。頭の奥に声が響いたんだけれど。キヨは不思議そうにあたしを見ている。
誰だろう……?
「もう少し、ケーキ戴いていい?」
レンがパクパク口いっぱいにケーキを頬張っている。木苺のケーキとチョコたっぷりのザッハトルテ。あたしは、レンの皿にケーキをもっと載せてあげる。
「上様……、勿体ないことです」


