「お帰りなさいませ姫様」 あたしが振り向くと、涼やかな目元の若い青年がひざまずいていた。 濃紺のブレザーの上下に紺のネクタイ。 ひめ? あたしが、姫ですか! きっとそれは間違いに違いありません。断言しますよ。 というか、ここは何処? あたしは結月。 「結月姫とおっしゃいますか」 「『結月あやな』ですが」 「では、どのようにお呼びすれば、よろしいでしょうか」 好きなように呼べばいいんじゃないの。