イケメン大奥


そうだったわね、欲張ってたくさん食べなくても良かったのね。


「少しずつ、分かっていらっしゃったら、無茶はしなくなります」


静かにあたしたちは廊下を歩く。


両脇にそろって、あたしを見守る男たち。


「この者たちにも、ぞれぞれ役割があります。わたくしから、必要なときには、申し付けますので、ご安心ください」


ふうん。




話しかけちゃいけないのかな。


「上様が必要とあらば、直にお申し付けください」


キヨの顔が少し冷やかになる。


「されど仕える者たちから、上様へ軽々しく触れたり話しかけたりは出来ません」


ここは、大奥ですから。


皆の者が見守る中では、キヨも「上様」と呼ぶんだ……。




あたし、完全に場違いなところに来たのでは?


心配しながらも、ギャラリーと呼ばれる場所に行き、チンプンカンプンな名画を鑑賞することになる。


キヨは微笑んでギャラリーへと案内した。