図書室捜索部隊に声を掛けてみる。
「何か発見はありましたか?」
「ないでーーーす」
埃が舞う中、入って調べ続けている者たちが、
積み上げた本もあふれそうだ。
「繰り返し大奥にいらした上様の記述が、
ありました!」
書棚の奥のほうでか細い声があがる。
「でかした」
キヨが図書室の奥へ進み、預かってきた書物を
あたしの前に開く。
しかし、記述には
「大奥に再度いらした上様の数……2名」
とあるのみ。しかも、
最近、直した形跡がある。
1名→2名に訂正され、消されていた記述があるようだ。
誰の仕業?
悪い予感では、ハルか……。
『お呼びでしょうか』
途端に本人の登場だ。あたしは気を引き締め、心のうちで
ハルに問う。
この記述を訂正したのは、あなたね?


