イケメン大奥


キーーーーーーン。耳鳴りがするくらい高音の声。

あ、くらくらする。


「上様」

ランとすっ飛んできたレイ、そしてキヨに抱きかかえられ、

あたしは廊下の外に用意された革張りの椅子に座る。


「なんか、すんごい高音のキンキン声がした……」


「あ、それ叔父様です。リツ叔父様」

男だよね? 

あたしは確認する。だってクレーム言ってくるマダムに多い、

エキサイトした声だったよ?


『失礼な! わたくしを呼んだくせに、

 わたくしの声をなじるとは、いかんせん、最近の娘っこは!』


ほら。

「『いかんせん最近の娘っこは!』だそうです……」

「間違いないです。リツ叔父様です。

 すぐに訊いてみてはいかがでしょう?」

ランは大喜び。

「あいつ、来るんか~憂鬱だな」

一方のレンは頭をぼりぼり掻いて、言葉通りの憂さぬ顔。


仕方がない。

『仕方ないとは聞き捨てならない!!!』

ほら、
声大きすぎなんですってば。