「ローブのままで、おいでください」
あ。……そうか、大奥に潜り込んで居た事が、ばれるとまずいのね。
「ハルはどういう風にレイに、あたしを大奥に入れる事を伝えたの?」
ふと思いついて訊いてみる。
その質問に、レイは不敵な笑みを浮かべた。
「聞いていません」
い、いいいい?
今、なんて言いました?
「事後報告です。この部屋に来てもらうように指示はしましたが……来てしまったものは仕方がないのでね」
ハルの奴……、キヨじゃないけど、頭にくる。
そうか。それであたし、男装する羽目になったんだ。
「今更、ガタガタ言っても仕方がありません。行きましょう」
レイは白シャツにズボン、紺のネクタイに着替える。
お目見え以上の者は皆、自由な服装を許されるらしいけれど、
やっぱり見目麗しい男性のスーツ姿が一番いい。
でもさ、あたしはこれ、緋色のレイのぶっかぶかローブ。
ま、
着る物が、無いんだけどさ。
なんか恥ずかしい。
夜這いに来たみたいじゃないか、あたし。