後ろからレイの背中に顔をくっつける。白シャツの感触を頬に感じながら、そっと腕を回して、レイの腕の上に自分の腕を重ねる。
「上様……」
「戻るのが、ちょっと怖いだけ。だから……こうしたくて」
重ねたあたしの腕の下のごついレイの腕が静かに抜かれる。そして、その腕は、あたしの腕の上に重ねられて、しっかりと指を絡められた。
絡め合う指と指。大きな長い指ひとつひとつに、あたしの指は包まれている。
「大丈夫ですよ、皆さん、きちんと元の場所に戻られています」
「うん……そだね」
あたしは甘えるようにレイの後姿に問いかける。
「レイは、あたしが去って、さみしい?」
「はい」
すぐに答えてくれるのも、、、なんか……微妙だ。
「上様が帰られるときは、いつも哀しいものです」
はっ。……夢から一気に覚めた感じ。
あたしが上様だからじゃなく、どの上様でも、なのね。
着替えなくちゃ。レイから身体をはずそうとして、レイの腕があたしを放してくれないことに気づく。
「……」
「あやな様は特にお慕い申し上げていました」


