「上様はお恥ずかしいのでしょうか?」
普通はそうでしょ? そうじゃないの? あたしは見せびらかすような、ナイスバディじゃないもん。
「わたくしがお手伝いするのが、お嫌なのでしょうか」
「いや、だれでも嫌だから」
「しかし……先日、キヨがお側近くに仕えましたところ、そのまま寝入ってしまい、大奥を去られたとか」
キヨが言ったの? もう……おしゃべり。
「あの、あのね、レイ」
顔が熱い。ぽっぺたも額も全部熱くて、湯気が出ちゃいそう。うう、ちゃんと言わなくちゃ。
「着替えを見られるのは困るの。でも、ベッドに入ったら、傍にいてくれる?」
「はい、わかりました」
今度はきっぱり言って、レイは後ろを向いた。
「お部屋の外にいたほうが、よろしいですか」
「ううん、そうしていてくれると、助かる」
レイの長身の大きな後ろ姿。あたしの顔が彼の背中の間くらいだ。大きくて頼りがいがありそうな広い背中を目にして、急に心細くなる。
「レイ、そのまま後ろ、向いていてね」


