でも、衝立の向きが問題。この向きじゃ、レイに丸見えよ。
あのね、あたしが衝立を必要としているのは、
あなたに見られると恥ずかしいからでしょ!!!
こんな時、キヨだったらどんなに良いかと思う。心の中を分かってくれて、声に出さなくてもいいのだから。
う。でも……あたし、思い出しちゃった。そういえば、先日は眠ってしまってそのまんま、だったから、ドレスはキヨが脱がせたのかしら……?
「何を青くなったり赤くなったりされておるのですか。お熱があるのでしょうか」
レイは全くあたしの心中に気づかずに、額に大きな手を置いてくる。肉厚の温かい手に、ぼんやりしてしまう。
「熱はないようですが」
レイの手が引っ込み、その指がドレスのホックにかかる。
「わたくしがお脱がせいたしましょうか?」
「い、いいえ! いいです、やります、自分で」
あたしは焦って衝立の陰に身体を隠した。そうして、ずりずりと少しずつ、ベッドの傍らに衝立を移動して、レイからは見えない向きに設置する。
「そのようなことをされても、回り込めば見えますが」
「だから、見ないで!」


