気付くと、新品の青いソファで寝てしまっていた。


寝違えたのか、少し首が痛い。

あたしは首を伸ばしながら携帯を開いた。


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「え」


九時三十分。


講座に遅れちゃう!

ここからは四十分は大学に行くのにかかる。

講座は今日、十時二十分から。ぎりぎり!


あたしはばたばたと駆け回って講座の用意をして、部屋を出た。


全速力で走る。


髪の毛はぼさぼさで、自分が悪いんだけど、恥ずかしい。

「間に、合った…」


電車には。


だけど、講座に間に合うかは分からない。

これこそ、神頼み。


美由紀に怒られそう。

『また寝坊したの?』
って。

大学が始まってもう三ヶ月も過ぎたのに、
あたしはまだこの生活に慣れていない。

だから、遅刻することもしばしば。


ラッシュもとっくに過ぎた電車には、人はほとんど乗っていなかった。


カタン、カタン、とテンポ良く電車は進む。

あたしは空いている席に座り、窓の外を見た。


一樹と別れてから、何故か窓の外を見なくなっていた。


窓の外では夏のさわやかな空が広がっていた。

あたしは大きく深呼吸をひとつ、した。