大学一年生の夏。


涼介と美由紀について、最近ずっと考えている。


別れたのか、そうじゃないのか。

別れたのなら、美由紀は何故あたしに言わないのか。

別れてないのなら、何故涼介は合コンに来ていたのか。


考えれば考えるほど分からなくなって、どんどん深みにはまっていく。

底なし沼みたいに。


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「ねぇ、美雨?」

「何?」



ねぇ、美由紀。


「ここ、ソファ置かない?」

「うん、いいね!」


涼介と別れたの?


「何色がいいかな」

「あたしは青がいいな」


どうしてあたしに何も言ってくれないの?


「あ、私もそう思う!」

「でしょ?」



あたしのこと、嫌いなの?


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「…ダメだ」

「え? 何が? ソファ置くのダメ?」


「…ううん、何でもない」


疑うのはやめよう。

美由紀と涼介は別れてないんだよ。絶対。

だから美由紀はあたしに何も言わないんだ。

言う必要がないから。


「ソファ、買いに行く? 今日、何もとってないよね?」

「うん、たぶん。バイトもないし」

「買いに行こうか」


あたしは大きくうなずいて、美由紀と微笑みあった。


この笑顔が後に憎しみに変わるとも知らずに。