あそこを歩いているのは…


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「一樹」

こっちを振り向いて少し微笑む一樹は変わってなかった。

「あ…久しぶり」

意外にすんなり話せたな…。


「この大学にいるんだね」

「うん」

「どうして美術の専念できる大学とか行かないの?」

一樹はあたしに聞いてきた。


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「あたしは、自由に絵が描きたいから。絵が描ければ、それでいい」


「あ…」

一樹は顔を赤くして


「どうしたの?」

「いや、なんでもない。じゃ、オレもう行くから」

「あ、うん…バイバイ」


なんだか…やっぱり素っ気なかったな…。


少し悲しくて、そんなことを思った自分が情けなくなった。


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「あたしって…最低な奴だ」