大学一年生の春。


桜が踊り、美しく舞う四月。


出会いの季節。

はじまりの季節。

新しい季節。


溢れるほどの希望をたくさん抱いて向かう大きなキャンパス。


今までとは格の違う校舎の大きさに驚いた。


周りの人の大人っぽさに驚いた。

勉強の難しさに驚いた。


驚いてばっかり! と美由紀に笑われた。

だけどそれくらいあたしには新鮮で、みずみずしかった。

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「ねぇこのサークル入らない?」

「え?」

「あ、あとで行きますんで」

美由紀はあたしが返答に困った瞬間、フォローしてくれた。


「いちいち答えてたら時間なくなるし、
気付いたら入れられてたり、なんて起こるわよ」


「あ…ごめん」


美由紀の優しさ。

少し照れ屋なのかぶっきらぼうだけど、それがいい。


「いいのよ、それが美雨の良さなんだから」


「…ありがとう」