「…オレは、その言葉、言ってほしくないな」

え…?

一樹は、あたしが今言おうとしてることが分かってるの…?
.

.

.

.

.

.

.

.

.

.


「…でも、言ってほしい。…そうじゃないと、吹っ切れない」


今にも泣きだしそうな声の一樹を見て、
あたしは声が震えて、上手く話せない。

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

「…同情とかいらないから、言ってよ。…な?」

.

.

.

.

.

「…」

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

「何? 早く…言えよ…」

.

.

.

「あたし…」

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

「言えよッ!」

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

「…あたし…。…あたし、一樹と…別れたい」


「分かった」


「…ごめん、一樹…。本当に、ごめんなさい…」

「…今まで、付き合ってくれてありがとう」


一樹は、こんなあたしを責めなかった。

…笑顔だった。余計あたしはみじめになった。


「一樹…ありがとう…ごめんね…」


あたしはぽろぽろと涙をこぼした。