あたしの後ろには、一樹がいた。

「! …一樹っ…!」

どうしよう。

「ちょっと来いよ」


怒ってる。いきなり右手をつかんで、一樹は廊下に出ようとした。

「ちょっ…待って…一樹!」

あたしはその手を振り払って言う。

「どうしてそんなに怒ってるの?」


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「ねぇ、そういう子供っぽいことやめてよ」

冷たい声と…目。


「オレ、そんなので美雨を嫌いにならないから」

「!」


「言いたいこと、あるんでしょ?」

「…」

目をそらす。


「美雨が、オレに言いたいことって何?」

無理矢理に、目をあわせられる。


…言いたくない。

このあたしが気付いたことは、きっと一樹を傷つける。

だけど、言わなくても傷つける。


あたしは、どうすればいい…?


二人の間に沈黙が広がる。