高校三年生の秋。

受験はもう目の前。


みんなは受験勉強で大忙し。


教室から、明るさというか、輝きがなくなりつつある。

みんな、殺気立っている。


だって、受験というたった数時間のことで人生が大きく変わるから。


あたしは相変わらず窓を眺めていた。

やっぱり、秋になると、わくわくする。

誕生日が近づいているからかな。

「美雨!」

「…一樹」

「誕生日プレゼント何がいい?」

「…」

何にしようかなぁ…。別に今、欲しいものないしなぁ…。

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「あ!」

「何?」


「あたし、一樹のピアノが聴きたい」

「へ? そんなんでいいの…?」

「…それが、いいの」


あたし今、顔すごく赤いだろうなぁ。

「分かった。いいよ」


一樹はにっこりと微笑んでくれた。

「いいの?」

馬鹿だな、って却下されると思ってた。

「うん。美雨のためだからね」

「あ、ありがと…」

さらりと恥ずかしいことを。


だけど…楽しみ。