ふんわりと手をつなぐ。

一樹は、涼介と違って背は低め。


あたしの背は、涼介の肩よりもずっと低かった。

涼介に抱え込まれたらすっぽりおさまってしまうくらい、
あたしは小さくて、涼介は大きかった。

一樹は、あたしより少し大きい程度。

男子の中では小さいほう。

性格も、真逆と言っていいくらい正反対。

だから、涼介の面影を少しも見なくて済む。

「美雨?」

「あ、ごめん…何?」

「もう駅着いたから。バイバイ、また明日」


「…バイバイ」


一樹は、なんだか冷たい。

もしかしてあたしが涼介のこと考えてるの分かってるの…?

そんなまさかね。


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桜はもう、散ってしまった。


淡い綺麗な色は、あと一年も待たないと見られない。


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そんな、どこか胸にすきま風の吹きぬける、寂しい夏。