「…井上、君」

あたしの顔を心配そうに見つめる井上君がいた。

「大丈夫?」

「一樹、どうした…?」

「!」

涼介の声が聞こえた。

「あ、それがね、涼介…」


樹に影が、かかって、涼介の姿が…。

「あ、い、井上君、大丈夫だから、部活の邪魔してごめんね!
それじゃ!」


「あ、うん…バイバイ」

涼介が来る逆方向に、逃げるように走って学校に戻る。


向こうはまだ気付いてないみたいだった。

気付いてないふりだけかもしれない。


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「やばい…」


まだ心臓バクバク言ってる…。

きっと全速力で走ったせいだけじゃない…。


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そう思うのは…間違い…?