「もっと声出せ!」

「はいっ!」

「!」


サッカー部のランニングだ!

今日は野球部がグラウンドを使う日だから、こっちにも来るんだ!

どうしよう、隠れなきゃ…。


足音がどんどん近づいてくる。


スパイクがザッ、ザッ、とすれる音。


あたしは急いで樹の裏側に回る。

安心して、小さくほっとため息をつく。


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後ろを、サッカー部のランニングの音が過ぎていく。


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「…。…っ…」


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あたしの存在なんて、気付かないように、去っていく、足音。

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「涼介…」

逢いたい…。

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「逢いたいよ…」

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しゃがみこんで顔を両手で覆う。

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「…気分悪いの?」


「え」


顔をあげると、そこには。