桜は全然咲いていない。
半分も、きっとまだ。
あたしは大きな桜の樹にもたれて、空を眺めた。
冬みたく澄み切ってない、春霞のかかった、曖昧な空。
あたしの心みたい。
あの時からずっと時は止まったままで、何かはっきりとしない。
涼介のことを諦めきれたのか。そうじゃないのか。
好き? って聞かれたら好き、って言うし、
嫌い? って聞かれても嫌い、って言うと思う。
そんな、曖昧な感情。
それがなんだか不安で、辛くて、苦しくて。
だけど、美由紀には相談できない。
美由紀には、もう忘れたよ、って言っちゃったし、
日南は最低な奴だったんだよ、って言われたし。
伸びをするように空に向かってまっすぐに手を伸ばす。
指の爪が桜の花びらに見えた。
あたしは手が小さい。
涼介と付き合ってたときも、言われた。
『おもちゃみたい』
って。
.
.
.
.
.
.
.
.
おもちゃ。
.
.
.
あたしは、涼介にとってただの遊び道具でしかなかったのかな…?
半分も、きっとまだ。
あたしは大きな桜の樹にもたれて、空を眺めた。
冬みたく澄み切ってない、春霞のかかった、曖昧な空。
あたしの心みたい。
あの時からずっと時は止まったままで、何かはっきりとしない。
涼介のことを諦めきれたのか。そうじゃないのか。
好き? って聞かれたら好き、って言うし、
嫌い? って聞かれても嫌い、って言うと思う。
そんな、曖昧な感情。
それがなんだか不安で、辛くて、苦しくて。
だけど、美由紀には相談できない。
美由紀には、もう忘れたよ、って言っちゃったし、
日南は最低な奴だったんだよ、って言われたし。
伸びをするように空に向かってまっすぐに手を伸ばす。
指の爪が桜の花びらに見えた。
あたしは手が小さい。
涼介と付き合ってたときも、言われた。
『おもちゃみたい』
って。
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おもちゃ。
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あたしは、涼介にとってただの遊び道具でしかなかったのかな…?
