高校三年生の春。
避けられない受験が近づいて、
みんなが少しずつピリピリし始めているのを肌に感じる。
じめじめした、梅雨のような嫌な時期。
.
.
.
あたしはもう校門の前で待つこともなくなり、一人で絵を描き、
時には受験勉強をする、というような、平凡な日々を過ごしていた。
.
退屈だけど、平和。
平和だけど、退屈。
.
.
どっちが良くてどっちが悪いのか。
はたまた、どちらも良くないのか、悪くないのか。
.
.
考えれば考えるほど、分からなくなった。
てことは、分からなくていいんだ、きっと。
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「ね、美雨、聞いてる?」
「あ、ごめん、聞いてなかった。何?」
「一年生、入ってきた?」
「うん、六人」
美由紀は驚いたように目を見開いた。
「多いじゃん! 二年生、がんばったんだね」
「あたしもがんばったよー!」
「はいはい、えらいえらい」
「もー! 絶対思ってないじゃん!」
「思ってるよ」
美由紀といると落ち着いていられる。
美由紀は友達が多くて忙しそうだけど、
出来る限りあたしのことを最優先にしてくれる。
でもこんなあたしも、
美由紀の友達の友達になることが多くて、友達は意外に多い。
避けられない受験が近づいて、
みんなが少しずつピリピリし始めているのを肌に感じる。
じめじめした、梅雨のような嫌な時期。
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あたしはもう校門の前で待つこともなくなり、一人で絵を描き、
時には受験勉強をする、というような、平凡な日々を過ごしていた。
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退屈だけど、平和。
平和だけど、退屈。
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どっちが良くてどっちが悪いのか。
はたまた、どちらも良くないのか、悪くないのか。
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考えれば考えるほど、分からなくなった。
てことは、分からなくていいんだ、きっと。
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「ね、美雨、聞いてる?」
「あ、ごめん、聞いてなかった。何?」
「一年生、入ってきた?」
「うん、六人」
美由紀は驚いたように目を見開いた。
「多いじゃん! 二年生、がんばったんだね」
「あたしもがんばったよー!」
「はいはい、えらいえらい」
「もー! 絶対思ってないじゃん!」
「思ってるよ」
美由紀といると落ち着いていられる。
美由紀は友達が多くて忙しそうだけど、
出来る限りあたしのことを最優先にしてくれる。
でもこんなあたしも、
美由紀の友達の友達になることが多くて、友達は意外に多い。
