課題が終わって薫ちゃんは帰り、あたしは美術室で一人になった。
モノクロの桜の絵にふと目をやる。
あともう少し。
だけどまだ、仕上がらない。
時間が足りないんじゃなくて、表現できない。
風に乗って舞う花びらの儚さを。
花びら一枚一枚の淡く美しい色を。
コンコンと窓が叩かれる。
「!」
窓を軋ませながら開ける。
「日南君!」
「どう? 絵、進んでる?」
進んでません…。
「進んでないんだ?」
そう言って優しく微笑んでくれた。
「うん…」
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
「じゃあさ、ちょっと気分転換しに行かない?」
「え、でも日南君、まだ部活の途中じゃ…」
「今はちょうど休憩に入ったとこなんだ」
グラウンドの方を指差す。
そこには、疲れきったのか、たくさんの人が寝転んでいた。
「そうなんだ…。分かった。気分転換ね]
モノクロの桜の絵にふと目をやる。
あともう少し。
だけどまだ、仕上がらない。
時間が足りないんじゃなくて、表現できない。
風に乗って舞う花びらの儚さを。
花びら一枚一枚の淡く美しい色を。
コンコンと窓が叩かれる。
「!」
窓を軋ませながら開ける。
「日南君!」
「どう? 絵、進んでる?」
進んでません…。
「進んでないんだ?」
そう言って優しく微笑んでくれた。
「うん…」
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「じゃあさ、ちょっと気分転換しに行かない?」
「え、でも日南君、まだ部活の途中じゃ…」
「今はちょうど休憩に入ったとこなんだ」
グラウンドの方を指差す。
そこには、疲れきったのか、たくさんの人が寝転んでいた。
「そうなんだ…。分かった。気分転換ね]
