次の日。

朝からしとしと雨が降っていて、外は暗かった。

風も強く、なんだか不穏な感じ。


眠たい授業が全て終わり、スクールバックを肩にかけて美術室に向かう。


.

もう少しで、あの絵が完成する。

桜の絵。


今回は色を使わずに、鉛筆一本で勝負しようと思っている。

黒一色だけで、
見た人が桜の淡くて綺麗な色を想像できるような、すごい絵にしたいな。

難しいけど、そこが楽しい。


でも、部活、ちょっと憂鬱かも…。

薫ちゃんがいるからなぁ…。

夏祭りの時から会っていない。会いづらい。


.

.

重たい足取りで、重たい扉をがちゃりと開ける。

美術室の不思議な空気があたしをじんわり包み込む。

「誰も、いない…」


誰かいるかな、と思ったのに、美術室はもぬけの殻だった。


もうすっかり汚れた筆が転がっている。

拾って落し物入れに入れる。


まぁ、先輩は受験が近づいて来てる、っていうのもあって
来ないのは分かるんだけど…。

あたしはため息をつきながら席に着いた。]