高校二年生の秋。

夏休みも明けて、一番長い学期がやってきた。


夏の残り香がまだ残っているなか、適度にクーラーが利いている教室で今、授業を受けている。

夢の世界へ旅立ってしまっている人がほとんどだ。


だけどあたしは起きている。

だって、ずっと日南君のことを考えているから。


夏祭りの時、付き合うことになって、もうその日から心が浮ついている。

登校中も自然に顔が笑ってて、日南君に

『何かいいことでもあったのか？』

って聞かれちゃったくらい。

それくらい、日南君と付き合えて嬉しい。

美由紀にも付き合えたことを言ったら、

『良かったじゃん。お幸せにね♪』

と言われた。


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井上君にはまだ言えていない。


というより、なんだか話しかけにくい。

夏祭りが終わってから、井上君は少し暗くなった気がする。

部活にもあんまり行っていないらしい。

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どうしたんだろ…？