「それなら、寂しいって言えよ」

「！ …日南君。どうして」

後ろを振り向くと、息を切らせた日南君が立っていた。


「お前が走るからだろ」

「薫ちゃんは？」

「しらない」

「持ってたかき氷は」

「西野にあげた」

「どうしているの」

「泣いてただろ」


あたしは首を振りながらぬれている頬をぬぐった。


「泣いてるじゃねぇか」

日南君はあたしの頬を伝う涙をぬぐおうとする。

けれど、あたしは反射的にその手を払ってしまった。

「！」

「！」


日南君も驚いている。あたし自身も驚いた。

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

.

「…優しく、しないで」


「は？」

あたしの思いがあふれだす。


「あたしに、優しくしないで。
…あたし馬鹿だから、勘違いしちゃうじゃない…。

日南君はあたしのこと好きかも、って…」


何言ってるのあたし…。

必死に止めようと思うけど、口はあたしの思い通りにならない。


「はじめは冷たかったくせに、いきなり優しくならないで。

薫ちゃんたちと一緒に回ってたくせに今さらあたしの前に現れないで」


.

.