高校二年生の夏。

みんなが浮き足立つ夏休みが近づいている。

来年はもう受験だから、夏休みを楽しく過ごせるのは今年で終わり。

そのためにみんなは顔を寄せ合い、
お互いのスケジュール帳を見て予定を立てている。


あたしはそんな楽しそうなみんなを一人ぼーっと眺めていた。

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すると突然、声をかけられた。

「ねぇ、北条さん! 夏祭りに行こうよ!」

目を輝かせて語る井上君。

「井上君…?」

「いいでしょ?」

「…いいけど…あたし?」

あたしはあたし自身を指差した。

「そうだよ。涼介もいるし、絶対楽しくなるよ!」


日南君もいるのか…。行こうかなぁ。

美由紀も…ってダメだ。井上君と美由紀、別れたんだった…。


「日南君も、ってことは、他に誰かいるの?」

「サッカー部の予定空いてる人全員だよ!」

「男子ばかりじゃない」

「だから、美術部のメンバーとか、色々誘ってほしいな…?
大人数で行ったほうが楽しいじゃん?」

大人数の方が楽しい…そうだね!

「いいよ! いっぱい誘っておくね!」

「ありがとう、じゃね!」

手をひらひら振って井上君は自分の席に戻って行った。


七月の頭にあった席替えで、席が離れてしまった。

井上君は前と席が変わっていない、ってぶつぶつつぶやいていたけど。