「美雨!」

「美由紀…。どうしたの?」

「ちょっと言いたいことがあるから来て」

美由紀の表情は今までにないくらい険しかった。


バカなあたしは気付かなかった。

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その時、井上君の表情も暗くなっていたことに。

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廊下に引っ張り出されたあたしに美由紀の口から衝撃の事実が告げられる。

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「私、一樹と別れたの」

「なんで…!」

「私のほかに…好きな人がいるらしいの」

美由紀の目は赤く腫れあがっていた。


気付かなかったあたしは親友失格だな。


「三月の終わりに一回けんかして、それから、だったの…。
でも、今さら後悔しても遅いよね」

必死に笑おうとしてるけど、ぎこちない笑みしか浮かばない美由紀。

ついに、涙がこぼれた。

あたしは何も言えなかった。

「あは、ごめんね…泣いたりして。新しい恋を見つけるよ!
愚痴聞いてくれてありがとう。それじゃ、もう戻るね」


「うん、分かった。またね」

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美由紀は、強いなぁ。

あたしなんかには真似のできない、輝く強さを持ってる。


弱いあたしには、そんな美由紀が羨ましい。