突然、コンコン、と窓を叩く音がした。


もしかして、またカラス?

昔、カラスに入られて、部屋中が羽だらけで
創作途中だった作品がめちゃめちゃになったことがあった。

そう思って用心しながら窓際に行くと。

「日南君…!」


日南君はサッカーボールを抱え、指で窓を開けて、と示していた。

あたしは深く錆びついた窓を力いっぱい開け放った。


「どうしたの、日南君」

「絵を描いてる北条が見えてさ。今休憩中なんだ」

「涼介! 北条さんをナンパしちゃだめだよ!」

横から井上君が入ってきた。日南君は顔を赤らめて

「してねぇよ!」

と言った。


二人、本当仲がいいなぁ。羨ましいくらい。


「なんの絵描いてるの?」

「うんと…。空」

「空?」

うん、と言ってあたしはキャンバスを二人に見せた。

今描いてる途中のもの。

「うわ…。上手い…」

「ありがと」


「朝日?」

井上君、残念ながら逆です。

「夕日」

「バカだ、一樹」

「うるせー!」

と言いながら井上君は日南君を追いかけまわし、どこかに行ってしまった。


二人を見ると、自然に笑みが浮かぶ。


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薄暗い美術室にさらさらと太陽の光がこぼれ落ちた。