大学一年生の冬。


あたしは応募したコンクールで、入賞はしなかったんだけど、
先生に認められて、フランス留学が決まった。


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『…フランス…?』

『ああ、快挙じゃないか、北条! 喜べ!』


恰幅のいい教授に背中をばしばし叩かれる。


『はぁ…』

『どうした…?』

『…まだ、あまり実感がわかなくて』

それに…五年という月日は大きい。

留学だけで五年。


売れるにはさらに莫大な時間が要る。

ただでさえ、売れるかどうかも分からないのに…。


あたしの人生の中で最大の賭けかもしれない。


『まぁ、そうだろうな…。
でも…お前の絵が世間に認められる、最大のチャンスだ。行くよな?』


だけど。


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『…。…はい。行きます』

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だけど、賭けてみよう。あたしの未来を。


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踏み出さなくちゃ。いつまでたっても前に進めない。


いくら今が真っ暗で、先が見えなくて不安でも、必ず光は見えてくる。


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そう信じて。

あたしはあたしの未来をあたしの夢に賭ける。


そう決めた。