放課後になっても、あたしは胸の痛みが何なのか分からなかった。

「美雨! 今日は部活行く?」

美由紀が聞いてきた。

「行くよ。美由紀は?」

「行く! だから校門の前で待ってて」

「分かった」


あたしは美術部。これでも何度か入賞したことがある。

美術室はグラウンド沿いにあるから、
部屋の窓から美由紀の所属している陸上部が見える。


実は日南君がキャプテンを務めるサッカー部も。

ちなみに井上君もサッカー部。


そして、それを眺めながら絵を描くのが、あたしのひそかな日課。


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あたしは美術室の雰囲気が好きだ。

少し薄暗くて、絵の具とか、ペンキなどの
画材の匂いが漂っていて木製の机には年季が入っている。

その机には様々な色の絵の具がついていて、机自体がひとつの作品のよう。


美術室は、学校の校舎ではない感じがする。


まるで、ひとつの国のような…そう。

ここは国。

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学校の一部でも、日本でもない、ひとつの国。