葵は手代木の腕の中で正気を取り戻した。



奈津実が言った。



「これで、一安心ね。

あとは、体力を回復させればいいわね」



手代木が力強く言った。


「この勢いで、みんなでサタンをやっつけましょう」


奈津実が首を振った。


「まだ、無理ね。

霊力にスタミナが無いわ。

手代木さんも末永さんも憑き神を使いこなせていないのよ。

今も、奴らを追い返せたのは奇跡に近いわ」


末永が尋ねた。


「具体的に、どこが悪いんだ?」


奈津実が言った。


「憑き神の力を引き出せてないのよ。

もっと力強いし。

なんと言うか。

暴走の一歩手前まで力を引き出さないとダメなのよ。

やっぱり、体内に取り込んで闘うしかないのかしら」


手代木が訊いた。


「前にやっていた方法だろう。

危険だから止めろと言っていたじゃないか」


奈津実が答えた。


「力的にはその方が出せるのよ。

ただし、葵ちゃんがリリスに乗っ取られたように、体を憑き神に乗っ取られてしまうのよ。

だからあまり使いたく無い技なの」